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京劇徹底!解剖(その他)

覇王別姫(はおうべっき)

項羽と劉邦の戦いのなかの項羽の最後を描く四面楚歌のシーンです。名優梅蘭芳(メイランファン)の代表作の一つで、映画「覇王別姫−さらばわが愛」でもよく知られた作品です。
(ストーリー)
中国を統一した秦の始皇帝が亡くなるとたちまち各地で無数の英雄が挙兵しました。勝ち残ったのは項羽と劉邦(りゅうほう)の二人です。覇王項羽は戦場では無敗を誇る勇将でしたが謀略や諜報戦で劉邦側に負け、とうとう垓下の地で劉邦軍に包囲されます。ある夜四方の敵陣から故郷の楚歌が聞こえてきたため、故郷はすでに敵軍に制圧されてしまったものと思います。項羽は自分の最期が近いことを知り、軍営の中で妃の虞姫と別れの杯をかわします。戦況が厳しいことを悟った虞姫は項羽の足手まといになることを恐れ、見事に剣舞を舞ったのち自刎して果ててしまいます。

虞姫(ぐき)
虞姫画像

楚の項羽の寵姫。日本では虞美人(ぐびじん)とも呼ばれます。戦地にいる彼女の衣装は、魚の鱗のような模様がある「魚鱗甲(ぎょりんこう)」で、鎧を着ていることを表現しています。普段軍営にいるときはこの上に「女斗篷(じょとうほう)」という黄色地に鳳凰と牡丹の刺繍が入ったマントを羽織ります。なお、黄色は高貴な身分の象徴です。

項羽(こうう)
項羽画像

秦(しん)末の武将、字(あざな)は羽。劉邦(りゅうほう)とともに秦を滅ぼし楚(そ)王となりますが、垓下(がいか)の戦いで劉邦に敗れ、烏江(うこう)で自刎(じふん)します。頭に元帥級であることを示すかぶりものをしていますが、背中に旗をさしていないのは、項羽の力が今まさに尽きようとしていることを意味しています。

鬧天宮(とうてんきゅう)

「西遊記」の一節。これは孫悟空(そんごくう)がまだ三蔵法師の弟子になる前の話です。
(ストーリー)
天帝(てんてい)は下界の暴れ者である孫悟空を丸め込むためにいかにも名前だけは大仰な「斉天大聖(せいてんたいせい)」の称号を与えます。桃園の番をいいつかった孫悟空ですが、西王母(せいおうぼ)の誕生日を祝う蟠桃会(ばんとうかい)には招かれません。天帝の意図に気付いた孫悟空は怒って天上界に忍び込み、神々の桃や酒や仙薬を飲み食いし、神様になる薬「金丹」を盗んで花果山(かかざん)に帰ってしまいます。天帝は天将天兵を下界に攻め込ませ孫悟空を捕らえようとしますが、逆に孫悟空に撃退されてしまいます。

孫悟空(そんごくう)
孫悟空画像

「西遊記」の主人公。花果山の岩から生まれた不思議な猿は天空を騒がせた罪で釈迦如来に五行山の下敷きにされます。後に三蔵法師に助け出され天竺へお経を取りに行くのを手伝います。帽子にある模様は猿の毛並みを表しており、目の周りのピンク色は天宮で大暴れして捕まり、「八卦炉(はっけろ)」に放り込まれた後は金色になります。

那咤(なた)
那咤画像

七福神の中の一神・毘沙門天(びしゃもんてん)の三男坊。「西遊記」では天界の軍勢の一員として孫悟空と戦ったり、三蔵法師一行の天竺への旅の最中に助太刀として度々現れます。若い生命力の溢れた強い武将神で、厄を払い福を招くとされ、現在でも中華圏で盛んに信仰されています。日本の「桃太郎」や「金太郎」のような存在です。

貴妃酔酒(きひすいしゅ)

名優梅蘭芳(メイランファン)の代表作の一つ。清代から様々な俳優によって演じられて来ましたが、梅蘭芳が演じる際整理した脚本が現在の定本となっています。
(ストーリー)
楊貴妃(ようきひ)は後宮の三千の美女達の中で唐の玄宗(げんそう)皇帝の最も大きな寵愛を受けています。玄宗はある日楊貴妃に百花亭での酒宴の準備を命じますが、その日それを忘れ、あろうことか楊貴妃のライバルである梅妃(ばいひ)の元へ行ってしまいます。それを知らない楊貴妃は百花亭で宴の準備を整え待ち続けます。いつまでたってもやって来ない玄宗に楊貴妃は侍女や宦官(かんがん)を相手に酒を飲みはじめます。やるせない思いを抱きながらも初めは陽気にはしゃいでいた楊貴妃ですが、ついには酔い潰れてしまいます。

楊貴妃(ようきひ)
楊貴妃画像

唐の玄宗皇帝の妃。中国四大美女の一人。楊貴妃の衣装は「女蟒(じょもう)」と「宮装」があり、王妃・貴妃など身分の高い女性が着用します。「宮装」は上下のワンピース型で色は紅を主とし高貴な身分を象徴する鳳凰や牡丹の刺繍を施しています。袖は様々な色を何層も重ね、下半身部分は三層に色とりどりの垂れ帯を計六十四本垂らすのが特徴です。

(2006年3月号掲載)

楊家将演義 三国志演義 その他

(楊家将演義)
「穆柯寨」
穆桂英
「坐宮」
楊延輝 / 鉄鏡公主
「三岔口」
任堂恵 / 劉利華
「打焦賛」
楊排風

(三国志演義)
「長坂坡」
趙雲
「古城会」
関羽 / 張飛
「郡英会」
周瑜
「甘露寺」
劉備

(その他)
「覇王別姫」
虞姫 / 項羽
「鬧天宮」
孫悟空 / 那咤
「貴妃酔酒」
楊貴妃

京劇まめ知識(3)

「梅蘭芳(メイランファン)」

北京生まれ。祖父・梅巧玲は「同光十三絶」の一人。父の梅竹芬も役者だったが早逝する。九歳のときに姉の夫・朱小芬の家で芝居を学び、呉菱仙から最初に指導を受ける。初舞台は十一歳で、十四歳のときに喜連成科班に入った。1913年に王風卿にしたがい初めて上海へ行き公演、好評を博す。最初の頃は青衣の芝居が主だったが、のちに花旦、刀馬旦の芝居もするようになる。舞台のヘアメイクや衣装に大胆な改革をし、新しい舞踊を作り出し、旦角の新しい表現を創始。1919年と1924年に日本、1930年にアメリカ、1935年にはソビエト連邦(現在のロシア)などで海外公演を行い、世界的な芸術家としての名声を得ている。1961年没。

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